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河童は栄養失調で滅びました

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河童忌

かの文豪、芥川龍之介は河童をこよなく愛し、

「河童」という作品を残したとかなんとか。

河童というのはいろいろな人の心を惹きつけて止まない生物であることに変わりはない。

 

私は今まで河童を好きという人にはごまんと出会ってきたにもかかわらず

河童を忌み嫌っているという人には出会ったことはない。

河童忌だけにね。

 

というより人前で河童の話をしない。

みなさんもそうでしょう。

変な目で見られますからね。

 

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こういう目で。

御免こうむりたい。

 

 こんな書き出しで何が言いたいのかと河童の愛でも語りに来たのかと。

そうではない。

そういうことじゃあないよ。

むしろ私は、河童に関しては特段特別な感情を抱いていない。

 

違う、そうじゃない。

我々はこれまで河童のことを真剣に考えてきたのだろうかと声高に主張していきたいわけだ。

河童はいないと、早計に甘んじている人が多いのではなかろうか。

 

今はそうじゃないだろうと。

河童は存在したと仮定して、それでは何故この世の中から姿を消してしまったのだろうか。

そういった建設的な議論というものが、今求められているのではないだろうか。

そこから、河童は存在したというわずかな証拠がさらさらと流れ出てくるかもしれないのだから。

 

そんな風に考えていくと、一つの確かな結論にたどり着いた。

それは、

河童が絶滅した理由だ

 

 

河童は何故滅んだ

まず、河童について知っていることを挙げていってほしい。

 

頭に皿がある

川に住んでいる

相撲がめっぽう強い

人間は相撲に負けると尻子玉を抜かれる

人間は尻子玉を抜かれると死ぬ

 

一体尻子玉とはなんなのかという議論もあるが、

ここであえて挙げなかった河童の代名詞的な特徴があるのを思い出せるだろうか。

 

そう、

河童はキュウリが大好物だ。

 

これの何が問題なのだろうか。

これを読んだどんな人間もそう思っただろう。

一昔前ならば。

 

我々は知ってしまったのだ。

一時話題にもなった。

 

キュウリが世界一栄養のない野菜としてギネスに登録されている

 ということだ。

少し前からまことしやかにささやかれてきたことではあるが、

それが、現実の記録となって迫ってきたとき

日本人はその情報に打ちひしがれるしかなかった。

 

それと同時に、河童のことも気がかりになる。

あいつ、そういえばキュウリばっかり食べてたけど…

そう、河童はいなかったのではない。

キュウリに滅ぼされたのだ。

 

そう、滅ぼされたのだ。

 

私の思いは、当時の日本人の思いとクロスする。

当時、川は恐怖の象徴であった。

河童がその縄張りとし、

「川に洗濯に」というのは河童がいる時代にはとても考えられない命がけの行為であったのだ。

 

これまで数多の猛者たちが河童に相撲を挑み、

やがては尻子玉を抜かれて帰ってきた。

 

尻子玉を抜かれた村の若人は、みるみるやせ細り

やがては朽ちていく。

それとともに、村も若人とともにみるみるやせ細っていくのであった。

 

ある日、村人はいつもと同じように供物を河童へと運んでいく。

その中には、あのキュウリも姿を見せた。

食事の脇役でしかなかったキュウリは、河童様にお供えするにはあまりにも失礼であったがもうそうも言ってられない。

 

供えられるものはキュウリくらいしか残っていなかったのだから。

河童様は怒った。

「やい、人間ども。よくもまあこんなおいしいものを今まで隠してくれたな。

罰として、この村からキュウリというキュウリを食べつくしてくれるわ。

今度から、お供えものはキュウリだけにしろ!」

 

人間たちは、不思議だった。

どうしてあんな脇役を気に入られたのだろうか。

それと同時に喜んだ。

キュウリならばいくらでもよこしてやろう。

 

そして、当時の人間は気付いていたのだ。

本能的にキュウリに栄養があまりないことに。

 

「そうだ、キュウリで河童の力を奪おう」

 

そこから人間たちの反撃が始まった。

小さな小さな反撃だった。

河童をキュウリ漬けにした。

河童はキュウリ無しでは生きられない体になっていた。

 

キュウリはないのか。

キュウリはどこだ。

キュウリが足りない。

キュウリ。キュウリ。キュウリ。

 

キュウリしか食べない河童たちの体はみるみるやせ細っていた。

それと同時に、腹だけはぷっくらと膨らんでいる。

そう、典型的な栄養失調に河童たちはなってしまったのだ。

 

そうなってしまえば、河童なぞ赤子をひねるよりもたやすくひねりつぶせた。

人間は勝利したのだ。

河童との戦いに。

それと同時に、人間たちはこの事実を葬り去ることにした。

 

人間が一つの種族を滅ぼすために、悪魔の手法に手を染めたのだから。

 

そして、河童はその愛くるしい姿だけが現代に伝わったのだ。

 

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悲しい物語ですね。

 

そんなキュウリですが、調理しようによってはどうとでもなるみたいですね。

きゅうりの栄養について | きゅうりの栄養ガイド

 

キュウリを食べるときは、河童のことも考えてあげてくださいね。

 

 

ご紹介が遅れましたが、河童忌とは芥川龍之介の命日を言うんですね。

そんな日に、河童が死んだことについて話せるのはなんて素敵なんでしょう。

と言いたいところですが、河童忌は7月24日です。