発想セクション

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君が「この味がいいね」と言うその味はいったい何の味だ

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気安く「この味がいいね」なんて言わない方がいい

私には高校時代、週3回ほど通っていた行きつけの立ち食いうどん屋というものがあった。

安価であり、なおかつ立ち食いうどん屋なのに美味しかった。

 

日に日に私はその店にのめりこんでいった。

高校生の時分、まだ自由に使えるお金が無い身としては

週3回の外食は、たとえ1杯200円そこらのうどんといえども高級品であった。

 

しかも、高校と自宅のどちらの最寄駅でもなく

うどん屋を食うためだけに、降りるはずのなかった駅に足を踏み入れていたのだから

そののめりこみ方は尋常ではなかった。

 

私が卒業するのと時を同じくして、そのうどん屋は店を畳むことになった

もう、この味には出会えないのかと涙を流して見送ったものだった。

 

と、思っていたらその味に意外とすぐに出会うことができた

 

七味

大学生になっても、行きつけのうどん屋さんというものができてしばらくたった時

若干の物足りなさを感じつつも、うどんの食べたさに妥協して通っていた。

あるとき、その足りない刺激を埋めるために七味を取り出した。

最初は、容器から意外と恥ずかしそうにぱらぱらとしか出てこない七味にいらだちを感じつつ

まあ、こんなものかと少しずつうどんに彩りを加えていたのだけれど

それでは足りなかった私の舌はより七味を求めていくのだった。

 

七味の量が日に日にエスカレートしていったある日、

急に今まで食べていた物足りないうどんが、あの日食べた思い出のうどんの味に化けたのである。

そう、私がおいしいと思っていたうどんの味は、なにもうどんの味ではなく七味の味であったのだ。

 

私の頭の中では、おいしいうどんというイメージが独り歩きして

いつのまにやら、超絶美味しいうどんが作られる謎の場末の立ち食いうどん屋

という風に姿を変えていたけれど

 

今思い出すと、七味がかけやすい容器に入れ替えられている

七味のかけやすいうどん屋さんと言うだけであったのだ。

 

普通の七味の容器というものは、

空気穴ほどの穴からぱらぱらというのもおこがましいほどの量をちびちびとかけていくように作られている。

 

しかし、私が通っていた立ち食いうどん屋は

ソースなどをかける口の大きい容器に入れ替えられており

柔らかいプラスチックの腹を押すだけで七味が飛び出る珍しい店だった。

 

そういえば、私もその店で表面が真っ赤になるほど七味をかけていたものだった。

「この店のうどんは美味しいですね」という男が食べているうどんは七味まみれだったのだ

あの頃、おばちゃんたちはどのような顔をしていたのだろうか。

 

七味は化ける

では、なぜその七味のかけやすさがものを言っているのか。

七味は化ける調味料だと私は思います。

 

七味は少量かける程度だと、多少風味はありますが少し辛さが増す程度の効果しかありません。

しかし、かける量が増えれば増えるほど辛さ以外味が姿を見せてくるのです。

 

辛味調味料は、本当にサラッとしかまぶされない傾向にありますが

七味は量をかければかけるほど、辛さの奥の六味が顔を出してきます。

ただ辛くなっていたものから、ほんのりとした風味がにじみ出てくるのです。

 

七味の七つ全てを楽しむためにはそれなりの量を振り掛けねばならないのです。

 

七味を勘違い

私は、そんな七味をもしゃもしゃと食べながら、

うどんを美味しいと言っていた大ばか者なのです。

 

だって、そうでしょう。

七味の味ってどんな味?と言われて明確に想像できる人がいますか。

そんなにいないと私は思います。

 

普段、多少かける人でもうすぼんやりとしているはずなのです。

 

他にもそういう味の物あるんじゃないですか。

実は自分の中でうすぼんやりとした味をしているもの。

口に入れて、舌で感じているのに

なんでか知らないけど、味がうろ覚えなものも存在すると思うのです。

 

五感中味覚だけはそのうろ覚えの感覚が理解しにくいのですが

見るとか聞くとかとも同じように味覚にもうろ覚えというものがあると思うのでした。

 

サラダ記念日

この味がいいねと言えば、サラダ記念日ですが

この言葉はサラダに対して言ってるけど、

それは野菜の味を言ってるの?ドレッシングの味を言ってるの?

なんでもっと手の込んだ料理をほめてあげないの

などなどいろいろ思うところがあります。

 

だから、「この味がいいね」などという自分の味覚に全幅の信頼を置いたほめ方をするんじゃなくて

もっとシンプルに好きだと言えばいいんじゃないかなと思います。

 

 

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2月29日

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あと少しで1000でした

もうひと踏ん張りですね。