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空耳の名作「えり子 左行こう」は日本社会にいろんなことを問いかけている!

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つい先日のタモリ倶楽部空耳アワードだった

空耳アワードは、その年1年で放送された空耳アワーの名作を一挙放送し

そのグランプリを決定する企画だ。

 

空耳アワーは、ほとんどの人が一度は名前を聞いたことあるかもしれません

洋楽の言われてみれば確かに日本語に聞こえる部分を映像とともに紹介するコーナーだ

 

私は、今年からタモリ倶楽部を見始めたので驚きの連続なのであるけれども、

何よりも驚きだったのが、昨年の空耳アワードで放送された

「Let it go」の空耳だ。

 

「レリゴーレリゴー」VS「えり子 左行こう」

もう1年も前に放送されたものだからネタバレもくそもないと思うので

書きたいことを書かせていただきたいと思う。

 

映画「アナと雪の女王」の名曲「Let it go」

これは、日本でも大ブームになって

世の中全体が「レリゴーレリゴー」一色に染まっていたわけだ。

 

耳なじみもよく、良い曲だとも思いつつも

国民総出で神輿を担ぐその様には、少しうんざりもしていた。

 

そんな中、タモリ倶楽部では松たか子を招いて行われた空耳アワードで

特別企画「アナと雪と空耳の女王」というがっつりブームに便乗した企画が行われた

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この企画では、「Let it go」の空耳を見つけてくるという企画だ。

みんなに聞きこすられたこの曲を、空耳で聞けと言うのだからなかなか酷な企画だと思う。

 

そこで素晴らしい作品が誕生するわけだ。

空耳アワーの常連投稿者の高橋力という方から送られてきたネタで、

あの「レリゴーレリゴー」を

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「えり子 左行こう」とその投稿者は聞き取ったのだ。

 

この作品を見たとき、私は頭に電撃が落ちたようだった。

 

「えり子 左行こう」が言いたかったこと

インスタント化の拒絶

日本中が、「Let it go」を「レリゴーレリゴー」といって面白がり、

インスタントにアナ雪を楽しんでいた横で

1億人以上の人間が、「Let it go」を「レリゴー」としか聞き取れなかった横で

 

ただ1人の人間だけが、あの「Let it go」を「えり子」と聞き取り

そして、あの「Let it go」を「左行こう」と聞いたのだ。

 

1億人いても「レリゴー」にしか聞こえなかった

誰もが「レリゴー」で満足していた

横からズドンと思いっきり殴られたようだった。

 

人間はなんでもインスタント化する。

「Let it go」を「レリゴー」にすることなんて、デフォルメの極致だ

「Let it go」から意味をはく奪し、発音記号とアルファベットをはく奪し

機械的に音に当てはまるカタカナをあてこむ

 

「レリゴー」といえば、

「Let it go」であり

アナと雪の女王」であるのだ。

 

でも、それは本当に本質なのだろうか。

えり子はそういっているように思える。

 

「えり子 左行こう」は、

日本人に右へ倣えで無思考のまま流行を享受してほしくないということを言っているようにしか思えないのだ。

 

えり子は右にも行けたわけだ

右へ倣えたのだ

しかし、エルサはそれが嫌だった

エルサは今のままの自分が嫌だった

自分の思うように生きたいと思った

日本人がよくわからないまま自分をデフォルメしているのが嫌だった

 

だから、エルサは右へ倣うのを、右へ行くことを拒否したのだ

 

あとは、空耳にあった通りだ。

 

みんなと同じようにアナ雪を流行として通過させることをえり子は拒否したのだ

 

あの分かれ道はえり子の心の中だ。

みんながただただ無思考に楽しんでいたアナ雪を

一緒に「レリゴー」と楽しむ右の道か

違うように楽しむ左の道を選ぶのか

 

そして、最もきれいな答えが舞い降りる。

違うように楽しむという決意と、違うように楽しむことが

「えり子 左行こう」によって同時に行われているのだ

 

ということは、えり子にとってエルサとは外的な助け舟ではなく

えり子自体の心の動きであり

えり子は、エルサとともに新しい道を勝ち取ることを決めていたのだ

 

えり子、あなたも右に倣うのよ?

いいえ、そうじゃなくていいの

えり子、左行こう

 

職人の意地

「Let it go」を空耳にしてくださいと投げかけられたら

100人が100人「Let it go」の部分を空耳で聞き取ることははなから考えないはずだ

だってそうだ、もう「レリゴー」にしか聞き取れないようになっている人がほとんどだからだ。

 

しかし、高橋力は戦場を「Let it go」に定めた。

いばらの道にもかかわらず、そこでこんなにも素晴らしい成功を収めたわけだ。

 

そこには職人の意地がある。

流行で刷り込まれた部分に新しい道を探ることにこそ職人の腕が鳴る

そんな決意じみたものをこの作品を聞いていたらひしひしと感じる。

 

まず、この企画をしたスタッフからもそういった気概を感じる

流行でまみれたこの歌を、生まれ変わらせてやろうという力強さ

 

そして、それに呼応する職人たち。

 

そして、一番変えなければいけなかったところを

見事に変えて見せた高橋力の実力には驚かされた。

ここ数年で一番笑った。

 

この作品からは、いろんな言葉が聞こえてくるようだった。

 

タモリ倶楽部の魅力

こんなに面白い番組を今の今まで見てこなかったというのだから悔やまれる

空耳アワーもそうだが本編もコアな話題が多くて非常に面白い

もっともっと面白かったタモリ倶楽部の情報などあったら

教えていただけると助かります。